妊娠中の美容鍼

妊娠に伴う身体の変化で多いのが、肌トラブルによる悩みです。

1-1.乾燥肌

肌表面や内部の水分が失われ、粉をふき、ガサガサとした手触りになるのが特徴です。肌のバリアが失われるため、外部刺激に弱くなり、紫外線によるシミやしわといった別の肌トラブルの原因にもなります。妊娠すると、赤ちゃんを育成する羊水や、母乳を作り出すために、血液や水分が使われます。そのため、肌表面や内部の保水力が低下し、乾燥肌になりやすくなるのです。

美容鍼は、妊娠中のさまざまな身体の不調を改善する効果が期待できます。そう言われても、妊娠中はお腹にいる赤ちゃんに影響が出ないように、行動や食事などを制限する必要があり、全身のツボを刺激する鍼も控えるべきではないか、と思う方も多いことでしょう。

しかし、ご自身の体調と受ける時期に気をつければ、妊娠中に美容鍼をしても問題ありません。ただし、身体の変化がとくに大きい「安定期」に入る前の「妊娠初期」には、施術を控えるようにしましょう。妊娠初期はつわりがきつくなりやすく、食欲不振や眠気といった症状が現れやすい時期です。鍼による刺激がきっかけで、体調不良を引き起こす可能性があるため、なるべく安定期に入ってから施術を受けるようにしましょう。

また、妊娠中は微弱電流を使用する鍼治療も控えた方が賢明です。微弱電流を用いた美容鍼の施術をどうしても受けたい、という場合には、事前にかかりつけの産婦人科医に確認をとるようにしましょう。妊娠中に初めて鍼灸院に通う際には、事前に施術可能か問い合わせたり、公式サイトなどを見て受けられるメニューがあるか確認したりすることをおすすめします。

前述したように、美容鍼には、ホルモンバランスや、自律神経のバランスを整える効果があり、妊娠中の肌荒れの改善が期待できます。妊娠中は女性ホルモンの分泌が活発になり、肌荒れが起こりやすい状態です。女性ホルモンは、赤ちゃんを育てる子宮と密接に関わりのあるホルモンで、妊娠中には欠かせない大切な働きをしています。一方で、女性ホルモンには、皮脂の分泌を盛んにする作用があるため、肌荒れを引き起こす原因にもなってしまいます。

美容鍼でホルモンバランスを整えることで、過剰な皮脂分泌を抑える効果が期待できるのです。また、美容鍼で、「真皮層」と呼ばれる肌の内部に刺激を与えることで、外部から肌の再生をうながす効果もあります。鍼で刺激を与えることで、肌細胞の修復効果を高めて代謝を活発にし、肌のターンオーバーを早めます。新しい細胞が生まれると、肌の弾力やハリ、血行が改善し、肌トラブルの改善につながるでしょう。